
KDDIでは、社員が年間の業務時間の約1%を使い、お客さまと時間をともにする「業務の1%活動(以下、1%活動)」に取り組んでいます。2022年度に始まったこの活動は、「お客さまの“今”と“これから”につながる」という思いのもと、お客さまと同じ時間を過ごし、日々の業務の中では見えにくい、お客さま一人ひとりの思いや背景に触れる取り組みです。社員一人ひとりがお客さまの嬉しさや喜びを実感することで、その学びを日々の業務へ還元していくことを目指しています。
これまでに、累計1万人以上の社員が参加しています。これは、KDDI社員のほぼ全員が一度は参加した計算になります。
エンジニアも営業も、その日は「先生」や「ガイド」になる1%の時間
KDDIには、ショップスタッフや営業など日常的にお客さまと接する社員がいる一方で、技術部門やコーポレート部門など、お客さまと直接かかわる機会が多くない部署もあります。「1%活動」は、そうした社員たちが、普段の業務とは異なる立場でお客さまと向き合う機会をつくる取り組みです。
活動の場はさまざまです。たとえば「おもいでケータイ再起動」では、電源の入らなくなったお客さまの携帯電話を、対話を重ねながら再起動し、大切な思い出をよみがえらせるお手伝いをしています。
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デジタルに不安を抱える方に寄り添いながらスマホ操作をサポートする自治体のスマホサロンでも、普段はお客さまと接する機会の少ない社員が講師として参加することもあります。
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また、東京都多摩市の「KDDI MUSEUM」でお客さまに通信の歴史を伝えるガイドを務めることもあります。さらに、KDDIが応援する京都サンガのホームゲームで、au PAYの登録・使用方法のサポートを行う活動や、2025年の大阪・関西万博にまつわるキャラバンで全国の小中学校の教壇に立ち、SDGsについて伝える役割も担いました。
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こうした活動を通して社員たちはなにを感じ、その体験は、普段の業務にどのようにつながっていくのでしょうか。
「業務の1%」をお客さまと過ごすことで起こる変化
「1%活動」は、ボランティアやサークル活動ではなく、正式な業務として位置づけられています。参加者は出張と同様の形で活動へ参加し、所属部署も参加する意義を認識したうえで送り出します。交通費や宿泊費も会社が負担します。
「1%活動」に長く事務局としてかかわってきた政 拳士郎は、その意義について「お客さま理解の解像度が上がること」だと話します。
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「私もそうですが、内勤で仕事をしている社員の多くは、カスタマーサービス部門からのレポートやウェブ上でのアンケート結果、営業社員からのフィードバックなどでしかお客さまの声を知ることができません。現場へ出向き、短い時間でもお客さまと時間をともにすることで、お客さま理解の深さが大きく変わってきます」(政)
さらに、この体験を通して得られる変化は、お客さま理解にとどまらないと続けます。
「社内でも接する機会の少ない部門の社員同士が同じ現場に立つことで、“こういう視点があるんだ”とお互いに意見を交わしていく中で新たな気づきも生まれます。現場で得た気づきを持ち帰り、それぞれの業務へ還元していくことで、より良い価値提供につながっていく。『1%活動』は、そうした変化や循環を生み出す取り組みでもあると考えています」(政)
現場での体験が、単にお客さまを理解するだけでなく、「そのとき、お客さまにとって何が嬉しさにつながるのか」を具体的に考えるきっかけにもなっています。それは経営層にとっても同様です。KDDIでは実際に経営層も1%活動に積極的に参加し、お客さまと直接向き合うことで得られた気づきや、体験の重みが語られています。
髙橋 誠会長(当時・社長)はおもいでケータイ再起動に参加し、「お客さまの喜びや感動の瞬間に立ち会える、とても素敵なイベントです。やはり、お客さまと接する実体験は何ものにも代えがたく、是非多くの社員の皆さんに参加していただきたいと思います」と語っています。
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松田 浩路社長(当時・取締役)も「おもいでケータイ再起動」に参加。お客さまの部活の思い出が詰まった着メロを甦らせました。「お客さまの嬉しい表情を見るために、こちらも必死になってできる限りのベストを尽くす、こうした経験は本当に貴重です」と、思いを語りました。
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また、「エリクソン×KDDI 遠隔STEAM教室」で小学生にプログラミングを指導した藤井 彰人執行役員は、「夢中になってトライ&エラーを繰り返す子どもたちの姿に強く心を動かされました」と、未来のエンジニアを微笑ましく見守っていました。
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お客さまの記憶や思いに触れること。子どもたちの挑戦や成長を目の当たりにすること。そうした経験は、役職や立場にかかわらず、社員一人ひとりが仕事の原点をあらためて見つめる機会になっています。
エンジニアも農家も同じ“ものづくり”の職人
現場で得た気づきは、その場だけで終わるものではありません。日々の業務へ持ち帰り、次の行動や仕組みづくりへとつながっていきます。
業務の1%活動は、スマホなどの取り組みに限りません。地域課題の解決や未来人財の育成活動など、さまざまなテーマで実施しています。KDDI IoT技術本部 モビリティ技術部の山本 幹也が参加したのは、長野県で行われた農業支援プログラムです。
この取り組みは、地元のJAがJR東日本や中部電力、KDDIと連携し企業人材と地域農家をマッチングさせる実証実験として実施されました。
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普段はコネクティッドカー向けIoT基盤の開発に携わっていますが、この活動ではりんごの収穫に加え、農家の人口減少や高齢化による耕作放棄地の再生プロジェクトの現場も体験しました。
「叔父が宮城県石巻市で漁師をしていまして、以前から一次産業の担い手不足に課題意識を持っていたんです。IoTは農業との親和性が高いですし、現場にはまだ技術で解決できることがあるんじゃないかと思っていました。だから、実際に地域へ行って体験できるこの活動は“渡りに船”でした」(山本)
印象的だったと振り返るのは、農家の人たちとの対話です。
「最初は“東京から来た人間が……”という空気もありました。でも率直に話すと “あなたたちも職人なんだな。遠慮せずなんでも言ってくれ”と。農家の方たちが私たちを同じ“ものづくり”をする立場だと受け入れてくれたように強く感じました」(山本)
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こうした体験のあと山本はチームの若手社員たちとともに、業務支援ポータルサイトを開発します。現場で得た気づきや学びをブログとして発信・共有し、チーム全体に“体験した知見を還元する”仕組み。
「活動そのものとは違いますが、現地での収穫や農家の方との対話で得た体験を、そのままにしておくのはもったいないと思ったんです。どうすれば業務で生かせるかを考える中で、今の仕組みにつながり、実現までこぎ着けました」(山本)
1%の体験を、99%の業務へ還元する
「1%活動」は、スタート当初、限られた数の施策から始まりました。より多くの社員がお客さまと向き合える機会をつくるため、事務局はお客さまと接点を持つ事業部と連携しながら、施策提案を募り、活動の幅を広げてきました。
現在では年間30件以上、約4,000名枠規模の取り組みへと広がっています。
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政は、活動の定着についてこう話します。
「“業務として参加する”という意識も少しずつ社内に根づいてきました。以前は一部の社員に限られていた活動も、多くの社員がかかわることで、より充実しお客さまに満足いただけるかたちで実施できるようになっています」(政)
こうした広がりの中で、子どもたちや地域社会と向き合う活動も増えてきました。たとえば「大阪・関西万博」での「エリクソン・KDDI デジタルミライラボ」では、子どもたちに向けたロボット・プログラミング教室のサポートや、KDDIが出展した「未来の都市」パビリオンでのガイドを通じて、若手社員が中心となり、未来について考える場づくりに関わりました。
サポートだけにとどまらず、子どもたちや保護者と時間をともにする中で、これからの社会や技術のあり方をともに考える機会にもなりました。
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KDDIの「業務の1%活動」は、単にお客さまを知るための取り組みではありません。
「1%」の時間でお客さまと向き合い、肌で感じた喜びや感動は、社員一人ひとりの心に深く刻まれ、残り「99%」の日常業務に向き合う際の原点となります。
現場で得た生きた実感と思いをすべての業務に還元し、サービスのあり方を磨き続けること。KDDIはこれからも、お客さまと同じ目線で、同じ時間を過ごすことを大切にしながら、「お客さまの今とこれから」を支え続けていきます。
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