
2026年5月、KDDIは「au Starlink Direct SOS」の提供を開始しました。空が見える場所であれば、携帯電話の圏外からでも衛星通信を通じてSOSを送信し、緊急通報受理機関へ通報ができます。
このベースとなるサービス「au Starlink Direct」は、スマートフォンとStarlink衛星が直接通信することで、携帯電話が圏外でもテキストメッセージの送受信や対応アプリの利用を可能にし、これまで通信が届かなかった場所へ「つながる」という価値をもたらしました。そしてその先で実現したのが、今回の「もしものときに助けを呼べる」というサービスです。
緊急時にスマートフォンからSOSを発信する――このサービスがどのような経緯で生まれ、どのような思いに基づいてかたちになったのか。サービスを開発した担当者に聞きました。
圏外からでもSOSを届ける仕組み
「au Starlink Direct SOS」は、空が見える場所であれば、携帯電話の圏外からでも緊急通報受理機関へ通報ができるサービスです。
利用者がスマートフォンからSOSを送信すると、Starlink衛星を介してau Starlink Direct SOSセンターへ接続。オペレーターが状況や位置情報を確認したうえで、緊急通報受理機関へと通報を行います。
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山岳や海上など携帯電話が圏外の場所でも、SOSを発信できるのがこのサービスの大きな特徴です。「auナビウォーク」「auカーナビ」、登山アプリの「ヤマレコ」、あるいは「家族の安心ナビ」から利用することができます。
実際の利用の流れはこちら
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①対応アプリで「衛星SOS」ボタンをタップ。日本国内でau Starlink Directに接続している時に、対応アプリを起動すると、「衛星SOS」ボタンが表示されます。※こちらは「auナビウォーク」の場合
②SOS情報を入力。状況ヒアリング画面内の指示に従ってSOS情報を入力し、「入力完了」ボタンをタップ
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③「通報」ボタンをタップ。
④メッセージアプリが自動的に起動され、SOS情報も自動的に転記されるので、内容を確認して送信ボタンをタップ。これでau Starlink Direct SOSセンターに送信。
⑤通報完了。SOS情報の緊急通報受理機関への通報が完了すると、au Starlink Direct SOSセンターから返信が届く。
こうした仕組みはどのように生まれたのでしょうか。開発チームはまず、「au Starlink Directの技術を何に生かせるのか」を考えるところからスタートしました。
圏外でも安心を届けるために
そもそも「au Starlink Direct」のサービスがはじまったのは、2025年4月。KDDIはこの技術がどんな利用シーンで活用できるかを検討するために、登山ガイドや漁業関係者など、圏外で活動する人たちのもとへ足を運び、実際に利用してもらいながら現場の声を聞きました。
企画を担当したKDDIの小林 三波は、au Starlink Directの価値を「つながる安心感だと感じた」と振り返ります。
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「普段から山や海などの圏外のエリアでお仕事をされている方にとっては、緊急時や非常時など関係なく、“家族や関係者とつねに連絡が取れる”ことに大きな価値があるんです。au Starlink Directによって『精神的な不安が減った』『つながっている安心感が大きい』という声をいただけました」(小林)
KDDIは、そうした利用シーンごとに強みを持つパートナー企業とともに、「圏外でも安心」を広げる取り組みを進めてきました。通信圏外になるケースもある海上や山岳に注目し、海の安全を支える航海アプリ「マリンコンパス」や、山岳遭難対策サービス「ココヘリ」などと連携し、SOS要請への迅速な対応を推進してきました。
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「au Starlink Direct SOS」はこうした領域に特化したサービスとの連携に加え、より多くの人が圏外でも安心を得られる仕組みをつくるために立ち上げられました。
緊急時に誰でもSOSを発信できる仕組みを作る
では、なぜ各機関に直接通報するのではなく「au Starlink Direct SOSセンター」という仕組みを介在させる必要があったのでしょうか。中心となってプロジェクト全体を進めてきたKDDIの田吹 健太郎は、今の「緊急通報の仕組み」について説明します。
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「現状、日本で緊急通報をする際は、110番も119番も118番も、基本的には音声通話を前提に設計されています。しかし、衛星とスマートフォンを直接つなぐStarlink Directは、テキストメッセージやデータ通信はできますが、電話番号を用いた音声通話が使用できません。したがって圏外エリアから、緊急通報受理機関に通報ができないため、私たちがその間をつなぐ必要がありました」(田吹)
ここで最も高いハードルは、これまで音声だけでしかできなかった110番・119番・118番への緊急通報をテキストフォーマットで実現することでした。これを成立させるには、関係機関のオペレーションに対する理解が不可欠でした。
「通常、緊急通報受理機関は通報者と直接会話をして、リアルタイムで情報把握をし、それに応じた対応をします。そのような仕組みに、テキストというフォーマットを持ち込むには、大きなハードルがありました。正確かつ迅速な対応ができるように、また誤報や2次災害を防ぐために、必要な情報は何か、それをどのように緊急通報受理機関へ伝えるべきか、最適化したテキスト通報の標準フォーマットをゼロから作り上げていきました」(田吹)
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山岳や海上で実際にSOSを送信し、事件・事故・遭難・海難などさまざまなケースを想定し、送信側と受信側の双方から運用を繰り返し確認しました。
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つながる安心をさらに広げてゆく
サービスの提供開始はゴールではありません。この仕組みが人々を支えるのはこれからです。
「海や山だけでなく、道路も意外にお困りのお客さまが多いんです。このSOSの取り組みが始まったことで、そうしたお客さまにもぜひ使っていただけるよう、より使いやすくしていきたいと思っています」(小林)
「積雪が多い地帯では、圏外で車がスタックしたり、動けなくなって閉じ込められたりする事故が起きています。私自身も北海道の圏外の場所で深夜に鹿と衝突したことがありました。そのときはクルマ2台で移動をしていたため通報できましたが、一人だったら途方に暮れていたと思います。通信圏外で万が一のことがおきると、命に係わる事態の場合も多く、さらに通報ができないと絶望的な気持ちになります。普段圏外で活動される方はもちろんのこと、お出かけやご旅行でドライブをされる方などにも、いざという時、この機能を使えるようにご準備をしていただきたいと思っています。この機能で圏外での事故や遭難が起きた際も最悪の事態に陥ることを少しでも減らしていきたいと考えています」(田吹)
山岳や海上といった現場で培ってきた「圏外でも助けを呼べる」という安心。その価値は、日常の移動を支える道路網をはじめ、私たちの生活のあらゆる局面にまで広がっています。空が見えれば、どこでもつながる。KDDIのau Starlink Direct SOSは、これからも「もしものとき」にお客さまの命と未来を「つなぐ存在」として、さらなる進化を続けていきます。
