眠る携帯電話を、未来の資源へ。東京都とKDDIが挑むリサイクルの新たな一歩

私たちの暮らしに欠かせない携帯電話やモバイルバッテリー。便利さを支える一方で、リチウムイオン電池による発火事故や、製品に含まれるレアメタルの有効活用は、社会全体で取り組むべき課題となっています。

そうしたなかで、東京都、新宿区、フォーステック社、VOLTA社、KDDIは、新たな資源循環の取り組みとして「東京鉱山から資源を掘り起こし~都庁舎リチウムイオン電池回収キャンペーン~」をスタート。東京都の小池 百合子知事や新宿区の吉住 健一区長らが出席し、開幕のイベントが行われました。

東京都庁舎にフォーステックが開発したAI自動分別リサイクルボックス「WeecleTechnology by Bin-e(ウィークル テクノロジー バイ ビンイー)」(以下「Weecle」)を設置。携帯電話やモバイルバッテリーなどの小型充電式家電を持参し、回収に出すことができます。あわせてKDDIが電源の入らなくなった携帯電話を専用の機器で再起動させる「おもいでケータイ再起動」を実施。古い携帯電話の回収を推進しました。

「都庁舎リチウムイオン電池回収キャンペーン」のオープニングイベントの模様
「都庁舎リチウムイオン電池回収キャンペーン」のオープニングイベントの模様

今回の取り組みの背景には、「持続可能な資源利用の実現」を目指す東京都と、携帯電話を扱う通信会社として長年リサイクルを続けてきたKDDIの思いがありました。

家庭に眠る金属部品=「東京鉱山」から資源を掘り起こす

オープニングイベントで、小池都知事は「リチウムイオン電池はごみではありません。宝です」と語り、家庭で眠っている携帯電話や小型充電式家電には、レアメタルなどの貴重な資源が含まれていることを強調しました。

東京都知事 小池 百合子氏
東京都知事 小池 百合子氏

「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では、皆さんから提供いただいた携帯電話などに含まれる金属からメダルをつくりました。東京は宝の山です。皆さんがお持ちの携帯電話などの中にある資源をもう一度集め、活用していきたいと思っています」(小池都知事)

一方で、適切に処分されなかったリチウムイオン電池による火災も深刻な課題です。
吉住新宿区長は次のように補足しました。

「一昨年、新宿区の清掃工場で大きな火災が発生し、ごみを収集できなくなる事態となりました。処理の仕方を間違えると火災の原因になります。一方で、きちんと回収すれば資源として生まれ変わります」(吉住新宿区長)

新宿区長 吉住 健一氏
新宿区長 吉住 健一氏

今回の取り組みは、都市に眠る資源を循環させるだけでなく、こうした発火事故から暮らしを守ることにもつながります。

このイベントでは、小池都知事が「おもいでケータイ再起動」で古い携帯電話を再起動し、「Weecle」に投入するまでの、回収のデモンストレーションが行われました。

電源の入らなくなった携帯電話からバッテリーを取り外し、専用の機器で再起動
電源の入らなくなった携帯電話からバッテリーを取り外し、専用の機器で再起動
また電源が入るようになった携帯電話で懐かしい画像や音声と再会
また電源が入るようになった携帯電話で懐かしい画像や音声と再会
携帯電話からお気に入りの1枚の写真をプリントアウト(写真はサンプル)
携帯電話からお気に入りの1枚の写真をプリントアウト(写真はサンプル)

そして、その回収を担うのが、AI自動分別リサイクルボックス「Weecle」。

「Weecle」は携帯電話・モバイルバッテリー・加熱式たばこ・その他小型充電式家電をAIで自動分別するリサイクルボックス。内部には温度センサーや耐火構造、消火機能も備えている。都庁での「Weecle」運用は2026年9月30日までの期間限定
「Weecle」は携帯電話・モバイルバッテリー・加熱式たばこ・その他小型充電式家電をAIで自動分別するリサイクルボックス。内部には温度センサーや耐火構造、消火機能も備えている。都庁での「Weecle」運用は2026年9月30日までの期間限定
ボタンを押すと投入口が開き、リサイクル対象となるものを入れるだけ
ボタンを押すと投入口が開き、リサイクル対象となるものを入れるだけ
するとAIが投入されたものを自動的に認識し、それぞれのボックスに分別
するとAIが投入されたものを自動的に認識し、それぞれのボックスに分別
上部のディスプレイに、東京都のAI広報アバター・都星人からメッセージが
上部のディスプレイに、東京都のAI広報アバター・都星人からメッセージが

「昔の携帯電話ってカメラで撮った写真がそのまま残っているときがあると思うんですね。充電器もなくなって、なにが入っているか忘れちゃったなという方も、再起動して思い出は残し、携帯電話は安心してリサイクルへ」と、小池都知事。

「思い出は残し、携帯電話はリサイクルへ」を推進するために、KDDIは2016年から「おもいでケータイ再起動」に取り組んできました。

取り組みの根幹は「携帯電話を安心して手放せる」こと

「おもいでケータイ再起動」は、これまで10年以上にわたり、全国各地で開催され、26,000人以上のお客さまに参加いただいています。

今回の取り組みでは、6月27日~29日の3日間で113名のみなさんが参加。回収だけに都庁に訪れた方も含め、約300台の携帯電話が集められました。これは通常のauショップ1店舗の回収量の約10カ月分に相当します。

KDDIで資源循環を担当する峯 秀人は、今回の東京都の取り組みと「おもいでケータイ再起動」の根底にある目的は同じだと話します。

KDDI 地域共創・SX推進本部 サステナビリティ企画部 峯 秀人
KDDI 地域共創・SX推進本部 サステナビリティ企画部 峯 秀人

「もともと『おもいでケータイ再起動』の目的のひとつは、データを取り出したあとに、みなさんが安心して携帯電話をリサイクルしていただくことです。今回のリチウムイオン電池製品回収キャンペーンとの親和性は高いと思っています」(峯)

右・電源が入らなくなった携帯電話のバッテリーに命を吹き込む「おもいでケータイ再起動」の専用機器。左はお気に入りの1枚をプリントするプリンター
右・電源が入らなくなった携帯電話のバッテリーに命を吹き込む「おもいでケータイ再起動」の専用機器。左はお気に入りの1枚をプリントするプリンター

思い出を手元にきちんと残すことで、端末を安心してリサイクルに踏み出せるきっかけを届け、新しい資源循環のかたちを提案します。

携帯電話を届ける企業だからこその責任

KDDIは2005年から使用済み携帯電話などの回収を続け、2024年度には約182万台を回収しました。

「全国にあるau Styleやauショップ、UQスポットなど、身近な店舗で使用済み携帯電話をお引き取りしています。KDDIは携帯電話をお届けしてきた企業だからこそ、その役目を終えた端末にまで責任を持つことが大切だと考えています。

2025年度は、環境省の実証事業の一環として、茨城県守谷市のローソン店舗で使用済み携帯電話の回収実証に参加しました。こうした知見を生かし、今後はより身近な拠点で回収を行えるよう検討を進めています。さらに携帯電話だけでなく、モバイルバッテリーについても、安全に回収・リサイクルできる仕組みを広げていきたいと考えています」(峯)

現在、2026年10月31日までの期間限定で、東京都内4店舗でのモバイルバッテリーの無料回収を実施中。対象店舗は「au Style SHINJUKU」「au Style IKEBUKURO」「au Style UENO」「GINZA 456 Created by KDDI」
現在、2026年10月31日までの期間限定で、東京都内4店舗でのモバイルバッテリーの無料回収を実施中。対象店舗は「au Style SHINJUKU」「au Style IKEBUKURO」「au Style UENO」「GINZA 456 Created by KDDI」

そして、今回東京都庁に設置されたAI自動分別リサイクルボックス「Weecle」は、その重要な第一歩となります。

「東京都主導の今回の取り組みでは、フォーステック社が持つAI自動分別技術に、KDDIが携帯電話の回収・リサイクルで培ってきた知見を掛け合わせることで、リチウムイオン電池製品を安心・安全に回収したいという社会のニーズに即した運用を実現しました」(峯)

今後「Weecle」のような仕組みが普及すれば、スタッフが直接回収できない場所でも、安全に携帯電話やモバイルバッテリーなどを回収できるようになります。

そしてKDDIは、回収後のリサイクルの工程にも責任を持って取り組んでいます。回収した携帯電話はまとめて破砕し、そこから金属部品を機械的に選別するのが一般的です。これだと部品のリサイクル率は約70%程度。KDDIでは可能な限り手作業で分解し、99.8%という高いリサイクル率を実現しています。

新たな資源循環社会の構築に挑戦してゆく

私たちが日常的に使うスマートフォンには、レアメタルなど貴重な資源が眠っています。AIをはじめとする先端技術の発展に伴い、こうした資源の需要は今後さらに高まると考えられます。

安心して携帯電話を手放せる体験を提供し、より身近な場所で安全に回収できる仕組みを広げ、回収した端末から貴重な資源を可能な限り次の世代へつないでいく。KDDIは今後も自治体やパートナー企業との連携をさらに深めながら、持続可能な資源循環社会の実現を目指します。

 

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