
広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ「しまなみ海道」の沿線には、多くの島々が点在しています。その一つである伯方島は、人口約5,400人で古くから製塩や造船・海運で栄えてきました。
サイクリストの聖地として多くの旅行者が訪れるしまなみ海道ですが、島しょ部で暮らす人々にとって、海を渡る橋は便利である一方、「ちょっとそこまで」の移動をためらわせる、費用と時間の壁でもあります。特に高齢者にとっては、「病院に相談に行きたい」「日々の困りごとを誰かに聞いてほしい」という思いを阻む要因になっていました。
島の人々が、もっと安心して、自分らしく前向きに毎日を楽しめるように。一人ひとりの暮らしの新しい一歩を後押しする場所として、伯方島のローソンに新たな窓口が誕生しました。KDDIとローソンが連携して展開する「Pontaよろず相談所」です。

今治市が抱える「島ごとの距離」という課題
今治市は、愛媛県北部に位置する広域な自治体です。人口は約15万人、高齢化率は全国平均を上回る約36%。伯方島や大島、大三島などの島しょ部は過疎地域にも指定されており、人口減少と高齢化が進む地方都市の課題を抱えています。
今治市役所 市民が真ん中課の尾崎 大輔さんは、市が抱える課題をこう語ります。
「島しょ部にお住まいの方が、市役所本庁や島外の病院、買い物に車で行こうとすると、どうしても有料の橋を利用しなければいけません。特に高齢者の方にとって、移動そのものが大きな負担になっているのが現状です」(尾崎さん)
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こうした課題に対し、今治市では市民の日常生活に関する困りごとを幅広く受け付ける総合相談窓口「市民が真ん中相談センター」の設置、本庁や支所から離れたエリアを巡回する「移動市役所」の運行、「しまなみ海道通行料負担軽減」などに取り組んできました。
しかし、市民の皆さんと接点を持てる場所や機会には限りがあり、支援が必要であっても相談につながらないケースが課題となっていました。
行政手続きから害虫駆除までオンラインで頼れる「Pontaよろず相談所」
この課題に対する一つの答えとして導入されたのが「Pontaよろず相談所」です。市役所や暮らしに関わるさまざまな相談を、対象のローソン店内にある専用スペースで受け付けるサービスで、KDDIのビデオ通話やAIアバターといった通信技術を活用し、遠隔地の専門スタッフと住民をつなぎます。
タッチパネルでメニューを選ぶことができ、スマホや通信プランの相談からファイナンシャルプランナーによるお金の相談、オンライン診療、家事代行やハウスクリーニング、害虫・害獣駆除まで手広く対応しています。今治エリアに設けたPontaよろず相談所では、通常メニューに加え、市役所相談、食事・栄養相談などにも対応しています。
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その仕組みについて、KDDIの坂爪 弘樹はこう説明します。
「遠隔の専門スタッフとビデオ通話でつながり、複数のサービスを一つの接点で受けられる設計です。AIコンシェルジュも実装されており、利用者と対話しながら適切なメニューへ誘導します。相談内容や場面に合わせた、温かみのある接客が可能です」(坂爪)
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ローソンは今治市と包括連携協定を締結し、市内5店舗に「Pontaよろず相談所」を導入しました。自治体と連携したPontaよろず相談所の導入は全国で初の試みです。
なぜローソンと今治市が連携したのでしょうか。背景には、両者の理念の重なりがありました。今治市が掲げる「市民が真ん中」と、ローソンの「マチのほっとステーション」。地域の課題解決を通じて住民の暮らしを支えるという共通の思いが、包括連携協定の締結につながったのです。
尾崎さんは、その効果に期待を寄せます。
「『市民が真ん中相談センター』は市役所本庁の1か所ですが、ローソンさんの店舗は市内各地にあります。『Pontaよろず相談所』と相談センターをオンラインでつなぐことで、市民は身近なコンビニから相談できるようになります。市役所に遠くから来なくても相談を受けられるようになり、市民サービスは向上すると期待しています」(尾崎さん)
ローソンの磯部さんも、第1弾を今治市で始める意義を語ります。
「『市民が真ん中』を掲げる今治市と、『マチのほっとステーション』を目指すローソンが協力し、誰もが取り残されない仕組みをつくりたい、という思いで取り組んでいます」(磯部さん)
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「これなら使える」AIアバターとの対話で広がる安心感
ローソン伯方島インター店で開かれた「Pontaよろず相談所」の体験会には島民の方々が集まりました。
「今までこういう経験はないので、私たちとしてはちょっと理解が難しかったかなというところもありました。それでも操作は簡単にできましたね。これなら使っていけるな、というところです」(体験会参加者)
「島に住んでいたら、年齢を重ねるごとにいろいろな問題が出てくると思うんです。だから、Pontaよろず相談所みたいな場所があれば、相談に行きやすいなと思っています」(体験会参加者)
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個室ブースなら人の目を気にせず、自分のペースで話すことができ、秘匿性の高い相談にも安心して臨めます。
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地域ごとに異なる課題をReal×Techで解決していく
今治市での導入により、「Pontaよろず相談所」は、東京・高輪ゲートウェイシティ店などを含め、合計22店舗での展開となりました。(※2026年6月8日時点)
「今後は多言語対応やAI接客の高度化により、より多くの方にとって、便利で使いやすいサービスを目指していきたいです。地域の行政機能や課題と連携し、より実効性のある仕組みにしていきたいと思っています」と坂爪は語ります。
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「これから全国の自治体は、人口減少の時代に本格的に突入していきます。テクノロジーを活用して地域課題を解決していくことは、今治市だけではなく全国の自治体にとって重要な取り組みになると考えています」と、尾崎さんは語ります。
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今治で生まれた仕組みを全国へ広めていく、その思いはローソンも同じです。
「ローソンのリアルな店舗網にKDDIさんの技術を組み込むことで、テクノロジーとリアルの融合(Real×Tech)が実現しました。デジタルの力で人とマチをつなぎ、地方が抱えるさまざまな課題をスマートに解決する未来を、KDDIさんとの強力なパートナーシップのもとで一緒に創り上げていきたいですね」(磯部さん)
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しまなみ海道の島に生まれた小さな相談ブース。そこに集まる島民の方々の「また使いたい」という言葉は、これまで距離の壁で諦めていた「日常の安心」や「やってみたいこと」を取り戻せた、喜びの声でもあります。
KDDIはこれからも、パートナー企業や自治体とともに、地域課題の解決にとどまらず、一人ひとりの思いを実現し、豊かな毎日へと踏み出す新しい一歩を後押ししていきます。
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