AI前提社会へ向けて―あなたが成長するAI「Buffmee(バフミー)」と、AIスタートアップを支援する協調投資プログラム

KDDIは2026年7月28日、新コンテンツサービス発表会を開催しました。「AI前提社会」に向き合うためにKDDIが挑戦するのは2つの取り組み――Googleと組んだAIスタートアップ協調投資プログラムと、あなたが成長するAI「Buffmee(バフミー)」のサービス開始です。

AI前提社会で日本が直面する2つの課題

最初に登壇した事業創造本部長の長谷川 渡は、今回の発表は中期経営戦略「Power-to-Connect 2028」の延長線上にあるものだと説明します。そのうえで、KDDIは「AI前提社会」の中で企業の事業成長を支える「AI労働力」と、暮らしや体験を変革する「AI生活力」の社会実装に力を入れていくという方針を示しました。

AI労働力・AI生活力を支える社会実装のフロントランナーへ

さらに長谷川は「日本は2つの重要な課題に直面しています。1つは『世界で戦えるAI企業の創出』、もう1つは『AI依存によるデスキリングの懸念』です」と指摘し、今回の発表では、これらの課題に対するKDDIの取り組みを紹介すると述べました。

KDDI 事業創造本部長 長谷川 渡
KDDI 事業創造本部長 長谷川 渡

AIスタートアップを支援するGoogleとKDDIによる協調投資プログラム

1つ目の課題「世界で戦えるAI企業の創出」についてKDDIの取り組みを説明するのは、オープンイノベーション推進本部 副本部長の舘林 俊平です。

KDDI オープンイノベーション推進本部 副本部長 舘林 俊平
KDDI オープンイノベーション推進本部 副本部長 舘林 俊平

KDDIは2011年に国内事業会社として初のインキュベーションプログラム「KDDI ∞ Labo」(ムゲンラボ)を立ち上げました。それ以来、15年にわたりオープンイノベーションに取り組み続け、2025年には300億円の投資を発表しています。

KDDIのオープンイノベーション取組み

海外のベンチャーキャピタル(VC)との連携も本格的に始まるなか、次の一手として発表されたのが、「AIスタートアップ支援プログラム」です。スタートアップとともにAIの未来を築くGoogle AI Futures Fundと、スタートアップに選ばれて9年連続1位*1のKDDIが連携し、AI前提社会における日本の価値創出を加速していきます。

両社の投資チームが協調し、日本のAIスタートアップに1社あたり最大200万ドル(約3億円)を出資。さらに、Google側からは最新AIモデルや技術サポート、KDDI側からは通信インフラやお客さま基盤、そして両者のAIインフラを組み合わせて支援します。

「AIスタートアップに必要なものをまるごと提供できる。それが本プログラムの強みです。支援プログラムは本日7月28日から受付をスタートします。GoogleとKDDIがタッグを組み、次世代のAIサービスの創出を後押ししていきます」(舘林)

日本のスタートアップを最新AIモデル・インフラ・専門家サポートで支援

応募用特設サイトはこちらから

発表会ではGoogle AI Futures Fundの共同創設者 Jonathan Silber氏からの動画メッセージも紹介され、両社がタッグを組んで日本のAIスタートアップを力強く支えていく姿勢が示されました。

Google AI Futures Fund 共同創設者兼ディレクター Jonathan Silber氏

AI依存によるデスキリング懸念にKDDIが向き合う理由

ここで再び長谷川が登壇。2つ目の課題「AI依存によるデスキリングの懸念」について、なぜ今これが問題になるのか、そしてどう向き合っていくかを語りました。

AI前提社会では、AIが生み出す情報量が爆発的に増えていくと、その生成・拡散スピードに、人間の処理能力が追い付かなくなっていきます。すると、正しい情報とフェイク(虚偽・捏造)の区別がつけられなくなり、最終的には自分で判断することを諦め、すべてAIに丸投げするようになる――。そんな状態が、今まさに広がりつつあるのです。

正しい情報もフェイクも判断が追いつかない

さらに、AIが「あなたが好きそうな情報」だけを選んで表示し、自分の“見たい情報”だけに囲まれる「AIフィルターバブル」と呼ばれる状態に陥ってしまいます。その先にあるのは、人間が本来持っている「自分で深く考える力」が少しずつ失われ、空洞化していく「デスキリング」という現象です。

AIへの“丸投げ”は脳活動を低下させる
出典:Kosmyna, Nataliya et al. (2025)の論文を参考に作成

「似た情報ばかりだと確証バイアスが強まり、考えの誤りに気づけなくなる。思いがけない情報との偶然の出会いがなくなり、好奇心や出会いも失われていく。そして、私たちは気づく力、そして変わる力を少しずつ失っていくのです」(長谷川)

ツールを使うほどに脳活動が低下していく、この負のスパイラルこそが、AI前提社会の本質的な社会課題だと、長谷川は強調します。

一方で、AIに頼るのは自然な流れで、無理に止めるべきものではありません。問われるのは「AIとの向き合い方」です。AIエージェントに任せる手軽さと、自分で探し・選び・考える豊かさ、この2つを「つなぐ」体験こそが、KDDIが作りたい世界だと長谷川は語ります。

“AIに委ねる手軽さ”と“自分で考える豊かさ”をつなぐ

あなたが成長するAI「Buffmee」、7月28日サービス開始

AIに任せながら、自分の成長へとつなげる。その体験を形にしたのが、7月28日よりスタートした新サービス、信頼性の高い情報と対話できるAIサービス「Buffmee」です。

「バフ(Buff)」はゲームの世界で、強さや素早さを一時的に高める魔法などを指す言葉です。「バフをかければ、そのままでは倒せない敵に勝てるようになります。そして、現実でも同じことができるはず、というのがサービスの発想の原点です。能力を上げる『バフ』を『私(me)』にかける。AIによって、あなたが成長する。それが『Buffmee』です」と長谷川は説明します。

Buffmee―あなたが成長するAI

Buffmeeにはさまざまなコンテンツがあるため、そのコンテンツにあった使い方を7つ*2用意しています。コンテンツごとに必要な機能は異なるため、パートナー企業やお客さまの希望に応じて、新しい機能も開発していく予定です。

「バフ」をかけられる7つのボタン

Buffmeeのパートナー3社のコンテンツを活用した具体例が紹介されました。

1つ目は、料理雑誌「オレンジページ」との取り組みです。長年愛されてきた雑誌に蓄積された膨大なレシピの中から、人気料理家の「プロの技」を一括で検索でき、誌面のレシピを忠実にAIが伝えてくれます。いわば「プロの料理を失敗せずに作れるバフ」です。

2つ目は、翔泳社「宅建士 合格ナビ」での資格試験対策です。正確な知識に触れながら、疑問が解消するまで無限に質問でき、オリジナルの演習問題やフラッシュカードで苦手分野を攻略できます。参考書パッケージの中身から必要な用語を抽出してくれるところが汎用AIとの大きな違いです。これは「超一流講師によって合格に一歩近づけるバフ」と言えるでしょう。

3つ目は、交友社が発行する鉄道趣味誌「鉄道ファン」の情報です。約8年・92冊分の情報をBuffmeeが整理し、引退車両や帯色、窓枠のサイズなど、専門家の解説に基づく『プロ』の情報にアクセスできます。つまりこれは「鉄道愛好家としての知識にもっと磨きをかけられるバフ」です。

Buffmeeは、現時点*3で約150のコンテンツを用意しています。学習・ビジネスから趣味まで幅広く、中にはPodcastとして音声で楽しめるものもあります。共通しているのは、いずれも「誰が作った情報なのか」がはっきりしていることです。

学習/ビジネスから趣味まで幅広いジャンルをご用意

料金は無料プランと、機能を存分に使えるプレミアムプラン(月額税込980円)の2種類を用意。申込日から1年間はプレミアムプランが無料になるキャンペーン*4を実施します。

Buffmeeでまずは「読む」体験をリデザインしたい

続いて、事業創造本部 AIプロダクト部長の木村 塁が登壇。Buffmeeがまず目指したいのは「書籍を読むという体験のリデザイン」だと示しつつ、これからの進化について3つの構想*5を紹介しました。

KDDI 事業創造本部 AIプロダクト部長 木村 塁
KDDI 事業創造本部 AIプロダクト部長 木村 塁
Buffmeeは進化を続ける

1つ目は「オンデマンドマガジン」です。読者の「読みたい」に合わせて、膨大な量の雑誌から記事を抜き出し、「あなただけの特集号」として仕立て直します。

たとえば、いろいろなお出かけ雑誌から「自宅の近所にあるスポット」の記事だけを集めて、あなただけの「ローカルお散歩マップ」を瞬時に作ることもできるのです。

読みたい記事は質問した瞬間に生まれる

2つ目は「学びダッシュボード」。手持ちの参考書をAIが読みこんで適切な問題を出してくれるだけではなく、どこまで覚えてきたのかも記録し、あなたの学習を後押しします。Buffmeeと参考書がしっかりとタッグを組むことで、まるで一冊一冊の参考書があなた専用の頼れる「専属家庭教師」になる、というイメージです。

散らかる学びを、一本の幹に束ねる

そして3つ目は「読みながらAI解説」です。本を読みながら、必要に応じてAIが解説してくれます。

「今はまだ、Buffmeeは本を読むということはできず、あくまでAIとしての回答だけを提供しています。今後は電子書籍の体験と融合していく、そのような形も目指していきたいと考えています」(木村)

むずかしい名著も‘読みながら解説’を

パートナーが語るBuffmee―出版3社×KDDIのパネルディスカッション

続いて、前述のパートナー3社をゲストに迎え、木村がモデレーターを務めるパネルディスカッションが行われました。パネリストは、翔泳社 書籍編集部長の秦 和宏氏、交友社 代表取締役社長の山田 修平氏、オレンジページ オレンジページ&net統括編集長の原田 直美氏です。

テーマ①:出版業界への生成AIの影響をどう考えるか

木村はまず、AIによるデータの無断利用や、それによるウェブメディアへの訪問数減少という問題を投げかけました。これに対してオレンジページの原田 直美氏は、生成AIの影響は大きく2つあると述べます。

オレンジページ オレンジページ&net 統括編集長 原田 直美氏
オレンジページ オレンジページ&net 統括編集長 原田 直美氏

1つ目はゼロクリック問題。サイトへの流入が減れば広告収入が下がるだけでなく、読者との接点そのものが失われていく。質の高いコンテンツを継続して制作していくための、これまでの収益モデル自体が成り立たなくなる懸念があると原田氏は語ります。

そしてもう1つの影響は、情報の品質と信頼性。「オレンジページのレシピは、実際に試作を重ねて、家庭でちゃんと再現できることを確認して出しています。それが生成AIによって『なんとなく』要約されて出ていくと、ブランドの信頼性が損なわれかねません」と説明しつつ、「『オレンジページのレシピだから作れると思ったのに、うまく作れなかった。あまり美味しくなかった』となると、私たちも困ります」と原田氏は思いを述べました。

翔泳社の秦 和宏氏も、同じウェブメディアを運営している身として、書籍の購入導線、ECサイトやレビュー記事への流入にも変化が起きており、AIの影響を感じていると語ります。

翔泳社 書籍編集部長 秦 和宏氏
翔泳社 書籍編集部長 秦 和宏氏

その一方で秦氏は、「ウェブの情報はもうクロールされて学習され尽くしたと言われている今、書籍のようなオフラインのコンテンツは、学習されていない、かつ内容も確か、という意味で価値が見直されつつあると感じています」と述べます。

著者側の受け止め方も変わってきているそうです。AIが出始めた頃は危機感を持つ方が多かったが、最近は「この波に乗っていこう」と、AIをうまく使っていこうという機運が高まってきている、と秦氏は語りました。

テーマ②:Buffmeeのビジネスモデルとコンセプト

「Buffmeeは、AIの回答に使われた文量に応じて、コンテンツホルダーへ対価を分配する仕組みです。さらに、コンテンツごとにチューニングを行い、雑誌や書籍と『対話できる』体験を目指しています」と、木村は説明します。

これに対して、交友社の山田 修平氏は、「月刊『鉄道ファン』は創刊号から通算785冊、65年分のデータがあります。これを死蔵させるのはもったいない。KDDIさんのビジネスモデルとコンセプトには大変共感しましたので、ぜひ一緒に組んでチャレンジしようと思いました」と応えました。

交友社 代表取締役社長 山田 修平氏
交友社 代表取締役社長 山田 修平氏

オレンジページの原田氏も、「生成AIによって既存の収益モデルが揺らぐ中、AIの回答に使われた分だけ還元される仕組みは、一つの解になり得ると考えています」と話し、「また、要点だけを抜き出すのではなく、雑誌や書籍が持つ世界観まで含めてユーザーが対話できる点にも可能性を感じています。編集による価値と、ITによる新しい届け方が組み合わさることで、新たなコンテンツ体験になるのではと期待しています」と続けます。

両氏の声に対して木村は、「出版物を単なるデータとして扱うのではなく、そこに含まれるカルチャーをいかに伝えられるかというところも、KDDIが取り組みたいと考えたポイントです。それに、Buffmeeのような利益分配の仕組みがないと、みんなが物を書かなくなり、それは人間社会全体の負のスパイラルにつながる。それを解決したいという思いで、このビジネスモデルにこだわりました」と語りました。

テーマ③:これからのBuffmeeへの期待

「これからのBuffmeeへの期待」について交友社の山田氏は、「65年分のデータは膨大なので、鉄道愛好家や鉄道事業者の皆さんに自由に使ってもらえたら、それが読者への恩返しになると考えています」と語りました。

翔泳社の秦氏も、「すでにフラッシュカードや演習問題に対応いただいているのはすごく良いことだと思います。今後、音声・動画・画像に対応していけば、学習者は自分に合った勉強スタイルを確立していけるはずです。資格試験の勉強の合間に『鉄道ファン』で息抜きしたり、『オレンジページ』を読んで料理してチャージしたりといった体験を、確かなコンテンツを下敷きにして楽しめるという意味で、クオリティ・オブ・ライフを上げていくようなバフをかけられるのではないかと感じます」と続けました。

「AI前提社会」に向き合うための、KDDIの新しい挑戦が始まりました。世界に挑むAIスタートアップを応援する協調投資プログラムのこれからにご期待いただくとともに、あなたの毎日に寄り添い、共に成長していくAI「Buffmee」を、ぜひご体験ください。これからもKDDIは、テクノロジーの力で、一人ひとりの挑戦や一歩を支えていきます。

*1:イノベーションリーダーズサミット実行委員会調査「イノベーティブ大企業ランキング」
*2:コンテンツによって適用機能の組み合わせが異なります
*3:2026年7月28日時点
*4:プレミアムプランに初回登録した方が対象。キャンペーン適用期間は7月28日~終了日未定
*5:構想中のサービスのため、提供時期未定

 

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